ピグマリオン効果 (T) |
実は最近、偶然にも数人の先生から同じ愚痴を聞く羽目になりました。「いくら繰り返し教えても、どうしても覚えない生徒がいるが、その子はLDではないかと思う」というものです。
子どもたちに限らず大人だって能力に差があるのが当たり前です。いっせい主義にとらわれず、それぞれ力がついているという部分が公平なら良いのではないでしょうかね。
自分の思うように学習してくれない子をLDではないかと決めつける前に、ぜひ「やればできるはず」と信じて、接してみてはどうでしょう。アメリカの教育心理学者ロバート・ローゼンタールのこんな実験があるそうです。
「ランダムに選び出した小学生にダミーの知能テストを行い、「この子は将来、学力が伸びる可能性が高い」と担任に説明。実際には何の根拠もないのですが、その説明を受けた担任は「この子は伸びる子だ」と期待し、そのように接するようになり、結果として実際に生徒の成績が伸びた。」
このように『信じれば現実になる』という現象を、ローゼンタールは「ピグマリオン効果」と名付けました。別名「ローゼンタール効果」または「教師期待効果」とも言います。
にわかには信じがたいと思いますが、その生徒たちに対して担任の取った態度に鍵があります。つまり、担任は他の生徒より高度なことに挑戦させたり、授業中に指名して答えさせる回数が多かったり、答えが分からない時は気長に待つなど、学習効果が出やすい環境を作り出していたのです。「出来る」と期待した先生が積極的にサポートし、一方、「君はやれば出来る子だ」と先生から励まされ、学習環境を整えられたことで、生徒側もやる気を起こし、人一倍頑張ったわけですね。
ちなみに、「ピグマリオン」とはギリシャ神話に登場する王の名前で、彼は自分で作った女性の彫像に恋をし、その彫像が人間になることを心から願います。それを見たアフロディア神がその願いを叶え、めでたくピグマリオンは彼女と結婚しました。【難波】