子どもの力を見くびらない ~全体から個へ~ |
まずは単語からと決めてかかって、動物や色や形の名前をたくさん覚えたりします。やっぱり会話でしょうということで、挨拶や自己紹介を繰り返します。いやいや字が書けなくちゃということで、アルファベットの練習をします。でも、これって・・・本当に基礎力なんでしょうか?
私がMagical PocketでB.B.カードを使い始めて8年になります。それまではどうしていたかというと、まさにこのようなやり方から始まっていました。やがて、文を言ってもらうようになり、文法的なことも入れていきました。でも、市販されている子ども用のコースブックでは、中学生になるまでに中学3年間で習う文法にはとても追いつかない。貯金が少ないのです。まして、発話らしいものにつながるのは、いわゆる勉強のできる子達だけ。これは、本当の基礎力じゃない・・・。そう感じて、教材を根本から見直し始めた時、B.B.カードに出会いました。
幸い、Magicalを巣だっていった子どもたちはほとんどがB.B.カードを体験しています。もう22歳になるMagical1期生たちも、遅ればせながら中2で使い始め、高校受験までの1年ちょっとでしたが思いきり遊びました。今は初めからB.B.カードです。
先生が「子どもは単語から」と思っていると、子どもは単語レベルでしか英語をとらえられません。まして、そういうときの単語はほとんどが名詞。やがて文レベルの状態になっても、子どもの意識は単語にしか向かないのです。それも、時間がたてばすぐに忘れてしまいます。中高生も、いえ私たち大人も、日本全体が、いつまでたっても「単語を覚えなければならない」という脅迫観念に追われているような気がします。おそらく受験も何もかも、そうしなければ解けないように作られているのかもしれません。だから、どんなに難しい単語を大量に覚えても、それで何とか長文が読めるようになっても、受験は突破しても、はいそこまで。簡単な発話すらできない。
B.B.メソッドは、逆から考えます。言語は文でできている。英語でも、日本語でも。そして、文を作っているのは単語で、書く時に必要な最小単位がアルファベット。先生がいつも文で表現すれば、子ども達も文で英語をとらえることに慣れるでしょう。自分で表現する時も同じ。あとはトレーニングしだい。それが基礎力だと思います。
基礎力=土台になってくれれば、挨拶の練習は後からでもいいんじゃないかって、思うくらいです。【魚住】
◎「Magical通信」vol. 138 (2013年6月号)より