8年前にB.B.カードを使い始めた頃、当時の保護者の方から「すばらしい即効性ですね」「テストですぐに役立ちました」といった言葉をいただいたことがありました。私自身、まだ使い始めたばかりで、それが本来B.B.カードが目指しているものなのかどうか不思議に思いながらも、悪い気はしていませんでした。実際、中学生にとっては、おまじない(動詞や形容詞の活用)やフレーズ(カードの下に書いてある表現)がそのままテストで役に立ったりすることもあるでしょう。でも、それは、言ってみれば「おまけ」に過ぎないということが、今ははっきりわかるようになりました。では、B.B.カードには何ができるのでしょう?
その前に、ちょっと考えてみてほしいことがあります。英語は教科ですから、受験やテストに使われます。大人になってからも、就職や資格取得のために必要です。常にその力を測られ、数字で評価され続けます。すると、人間は、どうやって効率よくその点数に届くかを考えます。テストの攻略法は、最短距離、最短時間を売りにします。英語ができなくても、テクニックさえあれば何点は取れる、なんてすごい話になります。そうなると、いったい、英語って何なんだろう?と思ってしまいます。それは、英語の力なのでしょうか?
話を戻しましょう。そう、B.B.カードに何ができるか、です。
おまじないやフレーズは「おまけ」だと言いました。つまり、例えば、雑誌を買った時についてくる「おまけ」のように、手に入ってラッキー♪これ、けっこう使える〜!という感じです。さらに言えば、64のセンテンスだって「おまけ」かもしれません。え?本誌だと思っていたものが実は「おまけ」!?そう、実は「超特大おまけ」です。じゃあ、メインは何?ということになりますよね。それは、B.B.カードで何年も遊びまくったことで培われる英語の土台です。
この土台は、数字では測れないかもしれません。いつどんな風に役立っているのかも見えないかもしれません。もしかしたら、B.B.カードのおかげだなんて感じないかもしれません。マジカルとしては、嬉しくもあり、ちょっとさびしくもありますが(笑)、でも、そういう力を「土台」というのだと思っています。
BBっ子たちは、64のセンテンス、フレーズ、おまじない、たくさんの言い換えや作文を繰り返し、たっぷり英語を言いながら、遊びまくります。覚えたてのセンテンスが青々とした葉なら、たくさんの言い換えや作文ができるようになる頃の葉は色とりどりに輝く紅葉でしょうか。やがて、それが地面を覆い尽くし、土になっていく。でもその頃には、本人たちも気づかずに、その上に立ち、歩き、夢のために努力を重ねている。B.B.カードのセンテンスがもう思い出せなくなっても、しっかりと土台になっている訳です。
B.B.カードでたっぷり遊んだことが、その子のスタートになり、通過点になる、それが私の望みです。【魚住】
◎「Magical通信」vol. 141 (2013年10月号)より