引き出しの中身 |
何十回も言っているはずの”on foot”なのに。。。と、一瞬頭がくらくらしましたが、冷静になってみて謎が解けました。彼らの中では、”on foot”も”by car”も、Cathy Carter comes to school.というセンテンスとしか結びついていなかったのです。
子ども達の中には、今たくさんの引き出しが作られつつあります。その引き出しは、私が作ってあげているわけではありません。64の文の単語の言い換えや、文法的な言い換えをしながら、こういうときにはこう言えばいいんだという情報を、自分で貯めていっているのです。私の役割は、その「引き出しの中身」の整理の手伝いと、取り出し方に気づいてもらうこと。もちろん個人差はあります。手伝わなくてもきちんと整理されていたり、ごちゃごちゃの割には取り出すのが得意だったりする子もいます。
上の5級のメンバーは、多少の個人差はあるけれど、たまたまその辺りがまだ不十分だったということです。そのため、何十回も言い、意味もわかっているはずの”on foot”が、英検の問題という違う場面で出て来ただけで、まるで初めて出会うかのようなものになってしまったというわけです。もちろん、これも、この経験を通して、引き出しの整理の効果があり、取り出し方のヒントにもなったわけですが。
64のOS(メインのセンテンス)とフレーズは、それだけでも宝物ではあります。でも、それらを大切なベースとして、しっかりイメージを膨らませながら言い換えることで、引き出しの整理ができ、取り出し方が上手になっていき、やがて自分の言葉となっていきます。何となく口を動かしていればいいのではなく、しっかりイメージすることが大事です。口慣らしはたっぷりやっていたつもりでしたが、取り出し方に気づかせるイメージ作りはまだまだ足りなかったのだと反省しました。
結果から言うと、5級メンバーは全員危なげなく合格。”on foot”事件(?)はあったものの、コツをつかんでしまえば、やがて日頃の蓄えが効果を発揮し始めました。そうなればもう大丈夫♪
いつも言いますが、英検は英語を学ぶ「目的」ではありません。少なくともマジカルでは、「目標」「モチベーション」「達成感を与えてくれるもの」という位置付けです。そして今回は、奇しくも、イメージ作りにも一役買った形になりました(笑)。確かに、うちでは、メインのB.B.カードと共に、リーディング、多読、そして英検が協力し合って相乗効果を出す!という考えでやっておりますから、そのとおりになったとも言えるのですが、今後は普段の授業の中で、もっとしっかりイメージを膨らませながら言い換えをしてもらうことを心がけたいと思います。
宿題にしている「イラスト付きの英作文」もその一環です。ぜひ、楽しんでたくさん書いて(描いて)来てほしいと思います。引き出しの中身をたくさん使って。みんなが思っているより、いろいろなものが入っていると思いますよ。
「Magical通信」vol. 94 (2008年3月号)より
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通信にこれを書いてからもう6年が経ちましたが、この時の「動揺」は今でも覚えています(笑)