1+1+1=10 |
いったいどんな計算したらこんなことになるの!?って、びっくりされてしまいそうですね。これは計算間違いでも、なぞなぞでもありません。子ども達がやっている英語の話です。
メインのB.B.カードやリーディング、10~12月は発表会の練習、それから英検。授業時間は、長くても90分。小学生は50分か70分。しかも、週にたったの1回。1年なんて本当にあっという間!
…と焦った頃もありますが、最近、私には、子ども達がみんなじわじわと英語の筋力、体力をつけていっているように思えます。う~ん、1+1+1=5くらい…かな?
「相乗効果」と言ってしまえばそれまでですが、ただぼーっとしていると、1+1+1はやっぱり3にしかならないんです。じゃあ、どうすれば答えが5や10になるんでしょう?やっぱり、「おもしろい」と思ってもらうこと、これしかないんですね。おもしろいと思えば、同じことを繰り返すことが苦になりません。おもしろいと思えば集中します。おもしろいと思えば印象や記憶に残ります。そして、おもしろいと思えば、アンテナを張るようになります。(他の子と比べないで下さいね。あくまでも、その子が「おもしろいと思う前」と「おもしろいと思った後」とを比べての話です。)
ここで私が言う「おもしろい」というのは、単に「おもしろおかしい」ということではありません。もちろんそれもありますが、It’s fun!というより、It’s interesting.であってほしい。そう思います。
今の子どもたちは本当に忙しくて・・・。やらなくちゃいけないことの優先順位もあって・・・。それはそのとおりだと思います。でも!!本当に好きなことは後回しにしないですよね(笑)。
私の仕事は、英語そのものを教えることより、子ども達の知的好奇心をくすぐり、モチベーションを高めること。単に何となく「英語が好き」と思ってくれるだけでもまずは成功なのですが、もっと力をこめて「おもしろい!」と思ってもらうこと、そこまでいきたいのです。そうなれば、授業の中で投げかけることをどんどん吸収するでしょう。宿題も、楽な方に逃げずに、自分で工夫してやってくるでしょう。B.B.でやったこと、発表会のセリフ、英検の問題、いろいろなものが結びつき、「頭の上の電球」は光りっぱなしになるでしょう。授業でやっていないことを投げかけても、驚くような応用力が芽を出すことでしょう。現に、そうなり始めている子達がたくさんいます。そうなれば、きっと、1+1+1=10に、いえ、それ以上になると思います。
そして、いつかは自分の力で立ち上がって歩き始める喜びを実感してもらいたい。それが私の最終的な願いです。
けして欲張っているわけでも、楽しさの陰に隠れて勉強させようと思っているわけでもありません。英語を習得していく力は、結局子ども達自身の中からしか沸き上がってきません。プレッシャーを与えるのではなく、自分から進んで学びたくなる「好循環」ができるよう、私も一緒に英語をおもしろがっていきたいと思います。
「Magical通信」vol. 105 (2009年5月号)より
先日、北海道の地元紙の投書欄に、すてきな話が出ていました。家族で漢字の話をしていたら、娘さんが「好循環」を「幸循環」と書いたそうです。お父さんもお母さんも、直すのを忘れて「いい字だね〜」と幸せな気持ちになったそうです。子どもたちの将来すべてに大きな責任は負えませんが、せめて英語に関しては「幸循環」が起きるように、そんな気持ちで一緒に土台作りをしていきたいです。