BBのレッスンで、いろいろな事情により授業が脱線することがしばしばあります。そんな時、果てしなく脱線するのではなく、少しでも普段のレッスンに関連付けて意味のある脱線授業をしたいものです。今回は冠詞についてで
す。
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冠詞については、以前「大丈夫?小学校英語教育」(セルムブログ第2回2013.10.11) というテーマで取り上げたことがあります。それは一小学校で目にしたことではありましたが、実際には他にも冠詞に関しては同じように扱っている学校があることを知り(中央公論
2013.11月号p.54)、言葉に対してあまりの配慮のなさにがっかりもし、小学校英語教育これでいいのかと憤りさえ覚えました。
さて、小学校英語はさておき、この子どもたちが中学生になると当然中学英語を学習することになります。今まで、What is this? It is dog.と習ってきたものが、中学では突然What is this? It is a dog.になるわけです。It is dog.ではペケになるのですから、かわいそうに自信喪失ですよね。
子どもたちがどのように英語を獲得していくかを見てると、たとへ
What is this? It is a dog.と習ったとしても、自発語ではIt is dog.となっていることが多くないですか。また、「~は好きですか」という文も同じ時期に習いますが、つい最近ボランティアで支援活動をされている先生が、ある小学校の研究授業で、Do you like dog? と教えていたと憤慨していました。
中学英語では当然”Do you like dogs?”と学習します。Do you like a dog?と言いたくなる気持ちはわかるのですが、Do you like dog?と発話する生徒も結構います。小学校で、無冠詞で学習してきたら、この傾向はますます増えそうですね。これを「一言の説明で直せる」と思っている先生は案外多いのではないかと思います。現実は「いくら説明してもその時は分かるのに、すぐ忘れてしまう」と嘆く先生はとても多いです。
英語は文脈の中で、或いはインターラクションを通して身体に染み込ませるのが理想だと思っているのですが、ときには目の前の試験のために、日本語による説明で理解させなくてはならないことだってありますよね。そんなときのアイディア「あなたはどっち?」です。
先生は一人づつ"Do you like dogs?"又は、"Do you like dog?"と聞いてゆきます。この場合複数形の"s"は、もともと弱音ですが、あえてさらに弱音で言います。一通り聞き終わったら、dogsにYesと答えた「犬の好きなグループ」とdogにYesと答えた「犬の肉が好きなグループ」の発表をします。実際にやってみて、子どもたちは同じように聞こえるので、首をかしげながらYesというケースが多いのですが、種明かしをすると大いに盛り上がります。dogに"a"がつけば普通名詞で「犬」、つかなければ物質名詞で「犬の肉」と説明します。次からは冠詞の"a"や"the"、名刺の単数、複数に注意を払うようになります。これは中学生の場合ですが…。
ついでに、中学生であれば、
① I like dogs.
② I like dog.
③ I like the dog.
④ I like a dog.
の使い方を英語であるいは日本語で説明しておくのもいいですよね。
①、②、③は比較的理解しやすいですが、④が問題です。そこで、
Betty wants to have a pet. Her mother told Betty that she
was going to buy a pet for Betty as a birthday present.
“What animal do you like?" asked her mother. “I like a dog.” said Betty.という話をします。そして、おそらくお誕生日プレゼントに買ってもらえる犬は1匹と思っているので、Bettyの答えが”I
like a dog."となったのだというような・・・。
I like a dog.と言えるのはこのように特定の状況でだけであることを話します。Bettyでなくてクラスの生徒だと、もっと印象に残るかもしれませんね。
“Dog is all over!” と聞いたら、中学生の皆さんは、どんな光景が目に浮かぶでしょうか。 [難波]