「Magical通信」vol. 102 (2009年1-2月号)より
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よくイラストでありますよね、頭の上に電球がピカッとついているところ。もやもやしていたことが解決した瞬間や、何かいいアイディアが閃いた瞬間は、私にとってまさにあのイラストそのものです。
BBカードで遊んでいるうちに、子供達が意識せずに筋トレになっているだけでも十分嬉しいのですが、この「頭の上の電球」を次々と点灯させてくれたら、私としてはこんなに嬉しいことはありません。なぜって、その子はいよいよ「自立した学習者」としての第一歩を踏み出そうとしている訳ですから。
もちろん、どんなことにも個人差はあります。この電球のつき具合は、正直差が大きく出やすいところだと思います。これは避けられない事実です。でも、BBメソッド自体が、その子と別の子を比較するものではなく、その子自身の進歩を何より大事にするようになっていますから、この電球のつき具合についても考えは同じです。電球のつくタイミングも、大きさも、明るさも、頻度も、一人一人何もかも違うのは承知の上。その上で、1つでも多く、少しでも明るくつくように、たくさんのきっかけを示すのが私の仕事。私がつけてあげることはしません。人につけてもらった電球はすぐに消えてしまいますが、自分からついた電球はなかなか消えないからです。
さて、こういう言い方をすると、「勉強ができる子の方がたくさんの電球がつくに決まってる」と考えてしまいませんか?それがですねぇ、意外とそうでもないかもしれませんよ。勉強ができるタイプの子の中には、「ちゃんと説明してもらわないとすっきりしない」という子もいます。理屈がわかると、わかった気になるんでしょうね。でも、私がいう電球は、理屈がわかったときにつく電球だけではないんです。単語や表現の表すイメージがつかめたときにつく電球もあれば、「こういうときはとにかくこう言えばいいんだ!」と割り切ったとたんにつく電球もあります。私の発音を素直に真似できたときにつく電球もあれば、偶然できた作文に大笑いしてつく電球もあります。英語を勉強としてだけではなく、言葉として「おもしろい!」と思ったときについた電球が、もしかすると実は一番明るくて、長もちするのかもしれません。
そうなんです。子供達が習得しようとしている「英語」は、「言葉」です。英語を習得するには、もちろん努力やセンスも必要です。でも、大事なことは他にもあります。「言葉」に対する興味、表現したり発信したりすることを楽しむ気持ち、自分の言っていることにはもちろん、先生や他の子の言っていることにしっかり耳を傾ける集中力、そういうものがとても大事だと思います。日本語をきちんと話せることも、実はとても大事です。子供達をよ~く観察しているとわかるのですが、元気な声で言っているように見えても口だけ動いている子の頭の上には、実はあまり電球がつかない。それどころか、センテンスもあまり入っていなかったりします。その場だけ上手に言おうとしているからかもしれません。逆に、たとえ少々声が小さくても、自分の声や私の声をしっかり聴いている子の頭の上には、よく電球がつくのが見えます。
今年は、いつもどおり声に出して言いまくる「筋トレ」はもちろん、色とりどりの「電球」が教室中にたくさんつくような授業を、大いに意識して進めていきたいと考えているところです。
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お恥ずかしながら、私は当時「アハ体験」という言葉を知りませんでした。調べてみると、これは英語で”Aha-experience”と言われるもので、さらには、もともとドイツの心理学者が”Aha-Erlebnis”と呼んだものの英訳だということで、茂木さんの独創ということではないんですね。
まぁ、いずれにしても、私の中ではやっぱりこの「電球」がしっくりきます。
しかも、小さな豆電球でいいから、何度も何度も、繰り返しつくといいなぁ〜と思います。
隣の子にピカッとついたのを見て、「え?」と思わずつられてついてもいい、そんな感覚です。【魚住】