今がすべてではないから . . . 。 |
「Magical通信」vol. 109 (2009年10月号)より
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「教師」の仕事と「親」の仕事は違うでしょうけれど、どちらにも共通することもたくさんあると思います。教え、導き、愛情を注ぎ、守り、育てる、、、。あげればきりがありません。でも、そのうちの一つが、「待つ」ということかな . . . と、最近よく思います。
今わからないからとすぐ教え、今できないからとすぐ心配し、今やる気がないからとすぐ叱り、今反抗したからと言ってすぐ嘆いてしまう。親って、そういうところ、ありません?今がすべてのような気がしてしまうっていうところ。でも、時間がたって、自分の力で歩き出す我が子を見て、そうか、待っていればよかったんだ . . . と気づくんですよね。
もちろん、親の助言や励ましや助けがあったからこそ、子供は自分の力で歩き出すのだとは思います。でも、親の知らないところでも、子供はたくさん学び、気づき、反省し、時には、傷つき、立ち直り、友達と助け合ったり、影響し合ったりしながら、確実に成長しているんですよね。だから、親は、自分が見えている姿だけに一喜一憂しておろおろしたりせず、安心できる場所でいてあげればいいはず。
な~んて、頭ではわかっていても、つい . . . っていうのが、また親だったりするわけで . . . 。
立場は違いますが、私とマジカルに来てくれている子供たちの関係も似ているところがたくさんあるのです。教師にとって、教えることは仕事であると同時に「職業病」でもあります。それをちゃんとコントロールしなければ、子供たちが自立した学習者として自信と体力をつけてあげることなんかできっこない訳です。
私がB.B.カードをメインに使っているのは、たとえ3年かかっても、4年かかっても、「自分でできる」喜びを味わってほしいからです。説明されて「わかる」という力ではなく、新しいことにも難しいことにもへこたれないような図太さを身につけてほしいからです。
そして、そのために、一番大切なのが「信頼関係」なのだと思います。私と子供達、私と保護者の皆さん、そして、子供達とお父さん、お母さん。なかなか結果がでない教材という印象もあるかもしれませんが、何もせずに時間だけ過ぎているわけでは決してありません。放っておいているわけではなく、観察し、たくさんのヒントを出し、気づくように導き、待っているのです。子供達の中に、たくさんの種を蒔いてあります。花が咲くまでに少々時間のかかる種ですが、とても丈夫な品種です。まだかな~と掘り起こさないで下さいね。特別な肥料はいりません。その代わり、どうかたくさんほめてあげて下さい。そして待ってあげて下さい。
今がすべてではない。つい忘れがちになるこの言葉を、私も毎日、自分に言い聞かせています。
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先月、北海道のBB先生達の勉強会が行なわれました。事前にトピックを募集したところ「be動詞と一般動詞の区別がつくようになる裏技はないでしょうか?」というリクエストもあがっていました。
勉強会当日、どんなアドバイスやシェアが出るのだろうと思っていたのですが、いろいろ話しているうちに、誰からともなく、「裏技なんてないよね」「BBセンテンスだって2年も3年もかかって染み込んでいくんだから、それだって同じだよね」「言って、言って、当たり前になっていくんだよね」「先生もそれくらいの『覚悟』がなきゃダメだってことだよね」という意見が出てきました。参加していた20名ほど先生たちの間に「スッキリした!」という笑顔が広がりました。
「待つ」という言葉の深さに改めて気づいたと同時に、勉強会の仲間たちを誇りに思った瞬間でした。