全体から個へ |
「Magical通信」vol. 156 (2015年7-8月号)より
*・゜゚・*:.。.:*・゚・*:.。.:*・゜゚・*:.。.:*
私たち大人は、その昔、中学で英語を学んだ時に文字から入ってしまいました。文字が並んだものが単語で、単語が並んだものが文だと思って勉強して来ました。その結果、書かれたものは読めても、聴いたり話したりする「音としての英語」はどうも苦手になってしまいました。英語を文字で確認しないと不安でしかたがない大人になってしまいました。
B.B.カードで遊ぶと、まず音で文が言えるようになり、意味がわかり、そして部分的に言い換えることでフレーズや単語の切れ目がわかってきます。やがて、文字とも照らし合わせながら遊び始めます。既に「言える」ことなので、字カード全体が絵のように一致してきます。読めなくても、音で長い文は文字でも長いはずだと気づいたり、繰り返される音は同じタイミングで同じ回数、同じ文字になって出て来ることを発見したりします。やがて、子ども達の中で音と文字が一致していくのです。
アルファベットという最小単位から与えられて積み上げていくと、どこかでつまずいた時に、そこで学習がストップしてしまいます。何とかがんばっても、文字、単語、そして文の形に辿りつくまでには、すっかり英語が苦手になってしまいそうです。フォニックスは英語を読んだり書いたりする上で大事な要素ですが、それは元々、英語圏で生活している子ども達、つまり日常的に英語を音で操作している子ども達が文字と結びつけたり整理したりするヒントだったものです。もし私たち日本人が英語のフォニックスを学習に取り入れるのであれば、まずは英語らしいイントネーションや発音で英文が言えるという自信をつけながら、というのがBBの考え方です。
一つには、「言える」ことが先にあるので、フォニックスが「与えられて積み上げるもの」ではなく、英語圏の子ども達が体験するような「気づき」になるからです。
「全体から個へ」— それは、単なるテクニックではなく、子ども達を見捨てないための大切な考え方だと思っています。