元気な脳の作り方(3) |
授業というのは、どんな教材を使っても、やり方しだい、もしくは先生しだいで、子ども達に「楽しかった」と感じてもらえるものにはなると思います。でも、BBの授業には、手の込んだワークシートもおもしろグッズも登場しません。私も"エンターテイナー"ではありません。それでも、子ども達が来た時より元気になって笑顔で帰って行くのは、脳を喜ばせることができているから、だと思っています。私がしているのは、おもしろおかしい授業ではなく、脳が喜ぶ授業なのです。
では、どうすれば脳が喜ぶのでしょう。
1つには、「できる」という自信を持たせてあげることです。そう言うと、「簡単なことから始めてだんだん難しくしていけばいい」と思われるかもしれませんが、その「易→難」も言語学者が決めたことだったり、先生が教えやすい順序だったり、大人が勝手に決めたものです。それより、大事なことがあります。いろいろなものをごちゃごちゃ示して、その子その子が「できる」「好きだ」と感じるものから順に選んでもらうことです。例えば64のBBセンテンスのどれから言えるようになるか、どれが好きかは、その子によって違います。それより、せっかく選ばれたものを「試さない」、他の子のものと「比べない」ことが大事。その子の中で精度が上がっていくのを待つのです。
2つ目は、「発見」するチャンスを奪わないこと。元気な脳の作り方(1)でも書きましたが、脳は自分で何かに気づくと俄然盛り上がります。経験や印象と一緒に記憶に深く刻まれます。脳はいつも自分で発見したがっているのです。他の子の気づきが連鎖することもありますが、それでもOKです。それは十分に準備ができていたから「そうだよね!」と思えたのであって、教えられたのとは全く違います。
最後にもう1つ、脳が喜ぶために大事なことがあります。脳に生まれた喜びを誰かと分かち合うことです。仲間であったり、先生とであったり、時にはBBのキャラクターと、かもしれません ^^ 脳が元気でいられるためには、心も元気でなければなりません。少なくとも孤独は排除しなければなりません。たとえ大笑いしなくても、共感できることはとても幸せなことです。それは、大人でも子どもでも同じですよね。
その日その日の授業の目標は何かと聞かれたら、予定をこなしたり宿題を出したりすることより何より、「明るい”See you!”が聞けること」かもしれません。「これで1週間会わなくてもこの子達は大丈夫」と思いながら見送る瞬間、やっぱりBBでよかった…と思います。
【魚住】