逆立ちしたら見えるかな?(3)ーボトムアップではなくトップダウンの英語授業を! |
今回は、その点についてもう少しおしゃべりいたします。
前回ご紹介したように、従来の英語教育では、次のような流れで授業が進みます。
インプット(=教える)
↓
反復練習
↓
定着(=教えられたことを覚える)
↓
アウトプット(=教えられたことをそのまま忠実に再現する)
この順番なので、子どもたちの負担が少ないように、わかりやすいようにという配慮をし、やさしいものから難しいものへ、小から大へと誘導するよう工夫します。
まずはアルファベット、次は英単語、その次はシンプルな文法の文章という「積み上げ方式(=ボトムアップ方式)」ですね。
そして、反復練習の結果、定着したかどうかは、自分で「これは覚えた、これはまだ覚えていない」と意識できるものです。ですから、一生懸命「覚えよう」と努力したり、記憶力がいい子、頑張る子には有利なやり方なのです。また、アウトプットの内容は、先生やテキストブックが求めること、つまり「教えたこと」です。つまり正解は一つだけです。
しかし、残念なことに、このような形で覚えたことは、その場で定着したように見えてもすぐに消えてしまうのです。「身につく」段階に至らないのです。ボトムアップ方式の限界です。
では、その逆をやってみたらどうでしょう?それがB.B.メソッドの考え方なのです。ボトムアップではなくトップダウンのやり方です。
全体から個へ。
大から小へ。
それは、こんな感じです。
インプット(=「たくさんのセンテンスに触れる」「教える」ではない。)
↓
反復(=いろいろな形で遊びながら。「反復練習」ではない。)
↓
内在化(=潜在意識に染みこむ。分かる。「定着、暗記」ではない。)
↓
さらに多量のインプット(読書)&多量のインタラクション(先生と生徒、仲間同士のやりとり)
↓
アウトプット(=生徒の自発的な発話)
なぜ、「教えない」で「触れる」なのか、「反復練習」ではなく「反復」なのか、なぜ「定着(=覚える)」ではなく、「内在化(分かる)なのか」など、詳細はまだまだお話しすべきですが、またいずれ。ただ、これは、全て現場の経験知、経験則からの実感です。
日本で日本語を身につけるプロセスを振り返っていただければ、それに近いものであることがおわかりになるかもしれません。
また、外国語教育に携われている方であれば、1990年代に言語学者のSteven Krachen氏のことをご存知かと思います。Krachen氏が提唱した「理解可能なインプット仮説」に支えられた「情意フィルター仮説」のことを知った当時は、「まさにB.B.的だ!」と思ったものでした。【難波】