元気な脳の作り方(1) |
子ども達の顔がパッと明るくなります。思わず笑いがこぼれ、一気に集中力が高まります。お互いに、他の子達の言う文に聞き耳を立てます。脳が活発に動き出したのがわかります。
ある日の小6クラスでのひとこま。B.B.カードで初めてGo Fish!というゲームをした時のことです。ごくごく基本的なルールだけを説明してゲームを始めました。初めのうちは、Do you have the card ”Gray Goose got some golden eggs”? という質問のし方を確認したり、どれを集めよう…と漠然と考えているだけです。1〜2周するうち、他の子がする質問を聞いていれば誰がそのカードを持っているのかがわかる、ということに気づきます。1枚もらって2枚になった子の隣で、もう1枚持っている子が思わず吹き出し、それを見ただけでその子の意図がわかって全員が笑い出す。そんな光景が繰り広げられます。
この状況は、ゲームを始める前に予め説明したところで理解してはもらえないでしょうし、理解したとしても、その後に起ることは「なるほど、先生が言っていたのはそういうことね」という確認になってしまい、自分で発見した時のようには盛り上がらないでしょう。自分で発見することで脳が喜びます。脳が喜び感情が動いた出来事は忘れません。ちょっと間をおいてまたこのゲームをしたとしても、一瞬でルールやこつを思い出すでしょう。
この「いちいち全て説明しない」というやり方は、高学年だから、もしくは複雑なゲームだからやったのではなく、実はB.B.カードを使い始めた瞬間にすでに始まっていたことです。BINGOでもドーナツ系でも、どんなゲームでも、まずはやってみながら「いつ何をすればいいのか?」「どうなれば勝ちなのか?」「どう進めれば有利なのか?」を自分で発見してもらいます。ルール探しもゲームの一部のような感じです。
では、なぜ、そんな一見面倒なことをするのでしょう?さっさと最初から説明してしまえばいいのに。そうすれば、勝敗だけに集中して、あれこれ考えなくて済むのに。
そう、この「説明してもらう」「勝敗だけ」「考えなくて済む」という状況が、どれだけ子ども達から可能性を奪っていることか・・・、子ども達が自分で発見する喜びを奪い、湧き出てくるような笑顔を奪っていることか・・・。そう思いませんか?子どもは遊びを通して学びます。お手本は仲間、経験が先生です。お父さん、お母さん、ご自分たちもそうして学んだこと、たくさんあると思いませんか?
そして、これは言語を学ぶ時にもとても大事なことです。言語は「説明してもらって理解して問題を解く」という作業ではありません。「どんなルールになっているんだろう?」と考えることや「まずは言ってみよう、使ってみよう」と試してみる勇気が必要です。そういうことに慣れてほしい、当たり前になってほしいのです。
効率を優先させることより、勝敗をつけることより、もっともっと大事なことがたくさんあると思っています。そして、そのためにも子ども達の脳が「元気いっぱい」でなければ、と思っています。