逆立ちしたら見えるかな?(42) 「基礎」ってなあに?(1) |
2月も終わりに近づき、大学受験も国立の2次試験が始まります。
受験生の皆さんは、この日に向けて、コツコツと地道に「基礎」から勉強を積み重ねてきたことと思います。その学習の成果が朗報をもたらしますように願っております。
勉強や、学習に限らず何事も「基礎が大事」であると言われていますね。これを否定する人はいないと思いますが、では、英語学習における「基礎」とはなんでしょうか。
私自身も子どもに英語を教える仕事に関わる前は「英語学習の基礎は何か」などと改まって考えたことは正直言って、ありませんでした。漠然と「まずはアルファベットを学ぶ」ことが不可欠であり、アルファベットの名前と文字を知らずして英語は学べないと考えていました。これは、自分がそのように英語を学習してきたからだと思います。現在では、フォニックス学習としてアルファベットの名前と一緒に音素も導入する学校も多くなっています。進歩しているようですが、果たしてその中身はどうなのでしょうか?
これからしばらく「英語学習の基礎」について考えていこうと思います。
まず、従来型の英語学習の方法について、おさらいをしてみましょう。
通常、学校での英語授業では、先にあげたアルファベット(場合によってはフォニックスも)に加えて、日常生活で使われる言葉(よく見聞きする言葉)として、単語であれば、色、数、曜日、月、動物、果物、野菜、形、
そしてこの後、教科書は自然に文法訳読法的な編纂となり、授業ごとに「一つずつ文型を積み上げ、学習したらその日のうちに定着、運用をさせる」ことを目指します。つまり、知識として文法学習をPPP方式(Presentation - Practice - Production)の順序で積み上げ式に学ぶことが当たり前になっています。
さて、上記のような日本の伝統的な英語教授法に基づいて学んだ語彙や文法をキチンと理解すれば、実際のコミュニケーションで使えるようになったでしょうか。
なりませんでしたね。
つまり、いくらていねいに母語で文法説明を受けて理解したとしても、それは明示的知識にすぎません。学校で英語ができるかどうか(文法の知識があるかどうか)の評価の対象にはなっても短期的な反復練習では 実際に使える運用力はつきませんでした。
実は、会話文を暗記してのコミュニケーション活動について、SLA(第二言語習得についての学問領域)の先行研究では、「学習者が練習したのと同じ状況で試される場合でも、短期的にしか効果が見られない」という結果があるそうです。現場の先生方であれば、この傾向は事実として例外なく実感されていることではないでしょうか。
また、学校では、とにかく生徒が間違えて覚えることを恐れて、細かく丁寧に教えます。とくに単語に関しての発音などは昔から「いったん間違えて覚えてしまうと、あとで矯正することが非常に困難である」と言って口の形、舌の位置なども事細かに指導します。また、フォニックス指導についても、大概は知識学習で終わっていないでしょうか。センテンス単位で読んだり、発話したりの場面ではほとんど学んだフォニックスが活かされていないように思います。折角学んだフォニックスが活かされないまま音声が刷り込まれていっている現実を見逃がす訳には行きませんね。続きは、また次回に。【難波】